長年不妊治療を続けていても、養子という選択をする方はほとんどいないのではないでしょうか?
養子という選択肢があるということすら知らない人も多いのではないでしょうか?
実際に私も6年間不妊治療をしましたが、里親や養子という選択肢はまったく思い浮かびませんでした。
赤ちゃんがほしい方の選択肢のひとつとして、里親制度・養子縁組があります。
養親になるための条件に年齢の上限もあるので、早い段階で里親・養子縁組について知っておいてほしいと思うのです。
この記事の目次
里親・養子縁組はどこに相談するの?
養子の相談ができるのは、公的には各自治体です。
専用のサイトを作っているところが多く、岡山県では保健福祉部こども未来課が運営する『はぐくまーれ』というサイトに詳しい内容が載っています。
里親制度とはいくつか種類がありますが、2年間限定または子供が18歳になるまで親のかわりに育てるというもので、実の親が育てられる環境になったら親元に子を返す場合もあります。
親権は実の親にあり、養親には養育費が支給されます。
養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組とがあります。
普通養子縁組は実の親子関係は消えずに養親とも親子関係を成立させるもので、戸籍には養子と記載されます。
特別養子縁組は、実親との親子関係を断ち、養親との間に実親子と同様の関係を成立させるもので、養子の年齢は6歳未満、戸籍には長男、長女、などのように記載され、養親に養育費の支給はありません。
自治体以外でも相談できるところはあります。養子縁組を支援している民間団体は厚生労働省に登録しているだけで18団体あります。 (平成25年度現在)
『養子縁組あっせん事業者に関する調査結果の概要』には、養子縁組件数などの項目ごとに数字がまとめてあります。
年間の養子縁組件数が1番多いNPOベビーポケッでは、養親の条件として、
◎養親として登録できる年齢はご夫婦とも30歳以上で夫46歳・妻43歳以下
◎養子縁組が成立した後も団体に所属してお手伝いができる方
◎不妊治療を終了していること
などを挙げています。
費用は特に記載がありませんが、厚生労働省調べによると養親から平均70万円ほどが団体におさめられているそうです。
子どもを取り巻く世界の流れ
国連子どもの権利条約は、子どもは家庭環境のもとで成長するべきだとしています。
国連児童基金(ユニセフ)は、子どもが施設で長く暮らすことは感情面や社会性の発達を遅らせるとしています。
「施設よりできるだけ家庭で過ごす」のが世界の流れだといえます。
アメリカでは赤ちゃんがほしいのになかなか授からない場合、養子をとるという選択をする方も多いそうです。
数十年前に国を挙げて養子縁組に取り組んだ結果、養子として養親に迎えられる子供が増え、親と暮らせない子の9割は養子として養親の元で暮らせるそうです。
一方、日本では養子になる子供は1割ほどで、残りの9割は施設で過ごしています。
これは世界的に見ても極端に低い数字です。
親を必要とする子供が大勢いて、子供を育てたい人も多くいるのに、それをサポートする制度がうまく機能していないのが現状のようです。
子どもを望むひとつの選択肢
実の子ではなくても小さな命をこの腕に抱きたい、成長する姿を近くで見守りたい、と思う不妊カップルのもとに、親に恵まれなかった赤ちゃんが養子になる…おたがいにとって幸せなことのように思えます。
実際に養子縁組をして幸せな家庭を築いている方々もたくさんいます。
最初は抵抗感があるのは当然だと思うし、さまざまな問題も考えられるかもしれませんが、もっと前向きにオープンに考えてみるのもいいのではないでしょうか。
More from my site
不妊カウンセラー
最新記事 by 不妊カウンセラー (全て見る)
- 自分の歩んだ選択を後悔しないために【不妊治療経験カウンセラーvol.25】 - 2017年7月7日
- 卵子提供を考える【不妊治療経験カウンセラーvol.24】 - 2017年7月7日
- AMH(アンチミューラリアンホルモン)が低いと妊娠できない【不妊治療経験カウンセラーvol.23】 - 2017年7月7日
- 誰かの言葉に傷ついてしまったとき【不妊治療経験カウンセラーvol.22】 - 2017年7月7日
- 無駄な経験などひとつもありません【不妊治療経験カウンセラーvol.21】 - 2017年7月7日