不妊カウンセラーコラム

妊活中に起こるパートナーとのすれ違いとは?【不妊治療経験カウンセラーvol.20】

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パートナーに不満や不安を感じたら

妊活中に経験する悩みの一つに、パートナーとの意見の相違があります。

デリケートな妊活や不妊治療に対する考えは、夫婦で意見が一致しないことや女性まかせになってしまうことも少なくはないようです。

Aさんの場合

先日カウンセリングを受けたAさんはもう6年ほど治療を続けている女性の方でした。

治療がなかなかうまく進まずに不安や焦りが押し寄せる中、何も言ってくれず何を考えているか分からないパートナーに対して不満が膨らんでいき、今では離婚を考えるようになったそうです。

不妊治療を始めた頃は、「やりたいようにしていいよ」という言葉に優しさを感じたそうですが、何年も治療を続けていく中でご主人に意見を聞くたびに「やりたいようにしていいよ」という返事しか返ってこない。

「あなたはどう思ってるの?」という質問に対して明確な答えを得られずに苛立ちを感じ、『これから先、大事な事は全部私が決めなきゃならないの⁈』という不満や不安が大きくなり、生涯のパートナーとして不信感を抱くようになってしまったそうです。

Bさんの場合

Bさんは20代前半で結婚しました。なかなか子供を授からなかったので、婦人科を受診しました。

検査の結果、Aさんは抗精子抗体を持っている事がわかりました。

抗精子抗体とは、女性の身体が精子を病原体やウイルスなどの異物とみなし抗体で攻撃してしまうことです。

抗体価が低い場合には人工授精、抗体価が高い場合は体外受精や顕微受精の治療が適応されます。

Aさんは体外受精をしないと妊娠はむずかしいと言われました。

Aさんは子供が欲しかったので治療をしたいとご主人に相談してみましたが、返事は「NO」でした。

「赤ちゃんは授かりもの。妊娠を人の手で操作されたくない」というのがご主人の考えでした。

その後数年にわたり、タイミングをみては不妊治療をしたいという相談を何度かしてみましたが、ご主人の考えは変わりませんでした。

その当時、離婚も考えたそうですが、奇跡が起こるかもしれないというわずかな希望を信じて踏みとどまりました。

結婚から約10年後、Aさんは離婚しました。

10年間一緒に過ごしてきた中で少しずつすれ違いが生じてきた事が原因なのですが、中でも不妊治療や子供に対する意見の相違は離婚に大きく影響しているとAさんは言います。

離婚から数年後、Aさんはある男性と出会い、付き合いはじめて1年ほど経った頃、なんと妊娠したのです。

体外受精や顕微授精でないと妊娠できないだろうと言われていたのにまさかの自然妊娠!妊娠をきっかけにその男性と結婚したAさんですが、出産した次の年に2人目を、その次の年に3人目を次々と妊娠したのです。

3人とも自然妊娠です。

Aさんは離婚後、幸運にも今のご主人と出会い3人の子供に恵まれましたが、もしかしたら独身のままだったかもしれません。

でも、不満や不安を抱えながら当時のご主人と一生過ごすより、より良い人生を送りたいと思って離婚する決意をしたのだと思います。

意見の相違があったなら

妊活中は子供や不妊治療に対する意見が合わなかったり温度差があったりして、パートナーとの関係がギクシャクしてしまうことはよくあります。

話し合いを何回も重ねておたがいの考えを尊重しあい、2人が納得できる方法を見つけられたら理想的ですね。

妊活は2人の問題です。

自分の意見をしっかり伝えることも大切ですが、相手の考えもよく聞き理解しようと努力することも必要です。

でも、話し合いをしていくうちに、パートナーの頼りなさや思いやりのなさを感じてしまったり、子供ができたとしても将来の不安を感じてしまったり…という時には、「少し距離を置いてみる」という選択肢もあってもいいと思います。

もしかしたら、少し距離を置き冷静になることでそれまで見えなかったパートナーのよさが見えてくる、ということもあるかもしれませんし。

いろいろ考え話し合いを重ねて、本当はどうしたいのか心の声に耳を傾けてください。

自分で考え自分で選んだ人生なら、きっと後悔はないことでしょう。

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